2013年11月9日土曜日

シャン・シュル・マルヌ城

11月9日、シャン・シュル・マルヌ城(Château de Champs-sur-Marne)。

パリ市に隣接するセーヌ・エ・マルヌ県内には中世や近代の城が数多くあります。

フォンテーヌ・ブロー城などは特に有名です。

今回訪れたシャン・シュル・マルヌ城も有名・・・というわけではなさそうです。

この城が家の近所にあり、しかも城の近くに用があったので、ちょっと立ち寄ってみました。

シャン・シュル・マルヌ城、正面より

ロワール地方の城などに比べるとずいぶんと小さいという印象を受けます。

現在残っているこの建築物は1703年から1707年にかけて築かれました。

根城というより別荘として使われていたようです。

1F喫煙室

わずかな年月のうちに所有者は転々とします。

1789年のフランス革命時には領地は差し押さえられ、家具等は売却されました。

それでも、幾つかの装飾品は残されたそうです。

1F食堂

1895年、銀行家ルイ・カーン・ダンヴェールがこの城の所有者になりました。

18世紀が大好きな彼は、建築家に城を修復させました。

家財道具を揃え、城内を18世紀のように装飾しました。

2F音楽サロン

1935年、彼の息子シャルルは領地を国家に譲渡しました。

また、家具調度品も国家に売却しました。

1939年から1974年まで、城は外国要人の迎賓館として利用されました。

2F寝室

1974年以降、城は市民に開放されました。

こうして、現在では7.5€で城内を見学できるようになったのです。

それにしても、来城者の数に比べてスタッフの数が多すぎないですか?

2F浴室

アクセスは、RER・A線ノワジー・シャン駅から徒歩30分。

同駅からバスで10分。

RER・A線トルシー駅などからもバスが出ています。

庭園

あらゆる建築物には人の歴史が息づいています。

歴史に記述され語られる先人たちの想いには無論のこと耳を傾けねばなりません。

過去を知ることはよりよい未来を描く一つの契機であるでしょうから。

しかし、歴史の表舞台に登場しない人間も各々の生をこの世界に刻んでいます。

思惟するものの中で生まれては実在を与えられずに消えてゆく観念たち。

それが確かにそこにあったと意識するとき、きっと気づくことでしょう。

私たちにまでなかなか届かない彼らの声を拾い集め、救い出すことの大切さに。

そのことを決して忘れないためにも、訪れるべき場所が私たちにはたくさんあるように思います。


記念建造物協会(フランス語)
http://champs-sur-marne.monuments-nationaux.fr

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